「小宮式 知的アウトプット術 (小宮一慶)」


ビジネス書、自己啓発書には、必ずといって良いほど

「インプットしたらアウトプットしなさい」と語っている。

なぜなら仕事に携わる人間、その中でも特に知的労働者は、

アウトプットが仕事であり、それ以外では評価されないからである。


しかし、仕事でのアウトプットは、時間を意識したものでなかったり、

冗長であったり、そもそも誰のために作っているのか分からないものがある。


少なくとも僕は、アウトプットを評価する立場であり、

かつアウトプットを評価される立場であるので、

多少はその生産性を理解していきたつもりである。


本書では、今まで僕がやってきたことの確認と、

さらなるアウトプット力の強化のために読んだ。



小宮式 知的アウトプット術

小宮式 知的アウトプット術

小宮一慶

すばる舎 (2010/10/20)

目次を見てみよう。

第1章 仕事を速くする 小宮式「書く力」

第2章 書く能力を高める インプットの力

第3章 インプットをアウトプットに生かす

第4章 アウトプットを高めるために学ぶこと

第5章 小宮式文章作成術 8つのポイント


話が上手い人は、書くことも上手い。

とにかく人に話したいことを書く。

構成の見直し、編集は後回しでも良い。


そしてそれ以上に本書のテーマである、

効率的にアウトプットするために必要なことがある。


P.14~15

すばやくアウトプットするために必要なこと

・書く前の段取りをしっかり行う

・書くときには集中して全力で書く

・書くことに慣れる

・読んでもらう対象は誰か

・彼らは何を求めているのか


これらが身についたら「バリュー」と「インパクト」を出し、

上手い書き手になることを目指す。


P.2

「バリュー」読み手にとって価値があること

インパクト」その内容が相手の心に残ること


■分かりやすく書く


分かりやすさというのは「読み手」によって違う。

「読み手」にとって分かりやすいとはどういうことかを考える。

専門用語を使わないで、十分に説明されていれば良いというものではないということである。


場面によらず必要なテクニックとしては、

"難しい言葉を使わない"

ただし説明の度合いは「読み手」に合わせる。

"文章を短くする"

なぜなら長い文章は「読み手」を混乱させるから。


"1つの文は3行を超えないように意識する"

このことは、「仕事の文章は3行でまとめなさい」という本でも語られている。


僕は書くときに、読むときのリズムを意識している。

自分にとって気持ちがよいリズムが、万人にとって気持ちがよいかは分からない。

しかし、リズムを意識していたら、1つの文は3行程度であったし、

ついでに1段落も3文程度であった。


■早く、確実な仕事を


ここで言う仕事とは、メール作成や文書作成のことである。

仕事で求められるのは、できるだけ早く、100点の仕事をすること。

100点の仕事とは、求められていることを満たすことである。


P.56

(若いうちは)どんなに時間がかかってもいいから、自分が100点だと思える仕事をしなさい


本書では、"自分の中で100点だと思える仕事をしなさい"と言っているが、僕はそうは思わない。

求められているもの=100点である。それ以上は必要がない。

もし「求められているもの以上をやるのが仕事だ」というのであれば、

それは、"求めている以上のことをやること"が求められていること、ということである。煙に巻こうとしているのではない、本当にそう思わなければいけないと考えている。


■関心を持ってインプットし続ける


仕事での文書ではなく、自由に書くならば、引き出しを増やすことが必要となる。

引き出しを増やすということは、何かしらのインプットが必要になる。

そのインプットは、関心を持っていなければ、自分にとって意味がない。


インプットは、会話や書籍、新聞、テレビなどがあるが、

そのものが優れているものを選ぶことはもとより、その接し方に最大限気をつける必要がある。

簡単に言うと、そこに無駄をなくしていくべきということ。


P.94

少々難しくても、絶対的に信頼の置ける優れた人の本を読む

P.96

優れたコメンテーターの発言は鋭い

P.97

(新聞は)気になった項目については詳細を読んでいき、さらに印象深い情報は、手帳にメモをする。

P.99

(雑誌は)自分の得意分野や興味の対象外のことがたくさん載っている

P.100

(インターネットは)不確定情報の入手


そしてとにかく、インプットしたことは、いつでもアウトプットできるようにメモと取っておくことである。

この方法は色々な本が出ているので一概に言えないが、ケータイ電話とノートを持ち、常にメモを取ろうという姿勢と、習慣化ができれば十分ではないかと思う。

メモのコツは、短時間にキーワードで良いので何でもメモを取るということと考えている。


■仮説を立て検証をし、論理的にアウトプットする


P.138

仮説とは、言い換えれば自分が持っている基準です。


仮説とは自分の考えである。まず自分で考えてみよう、ということだ。

インプットの際には、すでに答えが出ているようなこともあるだろう。

それでも、自分なりの仮説を立てようとすれば、答えは変わらないとしても、

その答えへのプロセスや意見に違いが出てくるはずだ。


仕事において立てるべき仮説は、上司やお客様の視点に立つことにより、

求められていること(100点)へ近づくことができる。

その仮説を論理的に説明をすれば良い。


ここでいう論理的とは、自分が立てた仮説を検証し、

他人が見ても分かるように説明することだと考えている。

基本的な前提条件と、言及していることに対する自分の仮説、

その仮説の検証の過程から、答えを示す。

こういうことを繰り返していくことは大切であるが、

近道としては、思考のフレームワークを身につけることだと思う。

フレームワークの基礎として読みやすい書籍としては、

勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践」を紹介しておく。


実際に仕事で流れているメールや文書は、

書いている人の仮説や、その検証の過程は、省かれていることが多いと思う。

なぜなら仕事で流れるメールや文章は、検証されていることが当然であり、

立てるべき仮説の多くは暗黙の共有がされているものだからだ。

若手が仕事の進め方がわからないというのは、

この暗黙に共有されている仮説と検証のパターンが少ないからである。

若手の人は、上司や先輩とお客様の間で流れるメールから、

どんどんつかみ取っていかなければいけない。

できる先輩や上司ほど、それは当たり前で、教えてくれないものだから。



小宮式 知的アウトプット術

小宮式 知的アウトプット術

小宮一慶

すばる舎 (2010/10/20)

仕事の文章は3行でまとめなさい

仕事の文章は3行でまとめなさい

勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践

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