換骨奪胎。構造を見抜き、他に置き換える。

 換骨奪胎とは、物事の構造を抜き取り他の事柄に置き換えることをいう。

 大辞林:〔「冷斎夜話」による。骨を取り換え,胎児を取って使う意〕 古人の詩文の発想・形式などを踏襲しながら,独自の作品を作り上げること。また,他人の作品の焼き直しの意にも用いる。

 映画や小説などを評するときに、昔のあの映画に似ているとか、あの作品のオマージュだとか、昔の作品をたくさん知っていたり、いわゆる専門家、おたくの人ほど、こういうことを言ったりする。そういう評価は、言っている人は別に作品を蔑んでいるわけではないのだけれど、聞いている人によっては、自分の好きな作品を馬鹿にされているように思ったりもする。
 しかし良い作品というのは、まず人の心を刺激する「構造」をしている。構造だけを抜き出すと似ている作品が多くなるということは、人を感動させるための技術があるということを示唆している。だから作品をたくさん観ている人ほどその構造に嵌まっていき、色々な作品の類似性に気づくことになり、好きな作品を語るときに他の作品を持ち出すようになるのだろう。
 多くの人が知っている起承転結や序破急、構造は同じでも、世界観と語り口が違うことによりまったく違う作品になる。ハリウッドのシナリオは構造がしっかりしていて、観客もそれを求めているから、ハリウッドの脚本家はまずシナリオの構造をしっかりと学ぶといわれている。
 ブログを書くにしても、面白いと思うブログの構造を見抜いて真似をするとか、好きな類のエッセイを振り返ってその構造を研究してみるとか、これから少し工夫をしてみようと思う。