最初は分からない本も、何度も読めば分かるようになる。

 今日はとても大事なことを思い出した。

先日「ハックルベリー・フィンの冒険」を読むのに難儀していると書いたのだけれど、今日から2回目を読み始めたら、急に頭に入ってくるようになっていて驚いている。

 驚いたことと同時に、この体験はすでに知っていることだということも思い出した。

 ぼくの学生のころの勉強方法は、とにかく教科書や資料を読む、それも何回も同じものを読みまくる、という方法だった。それで特別すごい成績ではなかったけれど、普通以上の成績ではあった。しかしそのせいで歴史などの読み物でしかない科目が得意で自分は文系だと思い込んでしまった。面白そうなのは数学でも得意だと思っていたのが歴史だったため、現役では文系の学部に入ってしまったのだ。その後数学科のある大学に入り直したのだけど、読んで学ぶという方法は変わっていないことに気づくことになる。学問において、最先端の仮説・実証の段階である部分を除くと、どんな学問も既にあることを学ぶことになる。もちろん素晴らしい教授に出会ったり学友に出会うことが、学びの実践では大切なことかも知れない。それでも既にある書物を読むことに変わりはない。

 最初はどんなに分からないことも、何回も読めば理解できるようになる。ぼくはそういう体質だったことを思い出した。学生時代のことを考えれば、なぜ何回も読めば分かるようになるかというと、それは積み重ねてきた知識を活用できるからだということがわかる。逆に得た知識を活用できなければ、何度読んでも理解は変わらないだろう。今回の小説にしても、2回目では一度読んだ内容を元に読んでいるから理解が進む。小説は結末を知っていたほうが安心して読めるという人がいる。そのくらい前提知識が読書の理解を大きく左右するのである。