地に足がついた考え方

 地に足のついた考えというものは、しっくりきて気持ちがいい。地に足がついた考えとは、ぱっと煌めく新しい考え方ではないし、こうだという結論がないということでもある。確かにある状況を、その状況なりに生きていく。終わってしまった過去から、不確かな未来を予測しながら、今を確かな足取りでしのいでいくための考え方。
 地に足が付いた思考回路がしっくりくるというのも、一種の才能や性格、後天的な経験によるものだと思っている。良いこと言っているようで結局何も言ってないじゃん、という捉え方をされることもあるが、それは何か言って欲しいという勝手な期待からくるものであって、言う側は言いたいことしか言っていないということを忘れている。言う側は何をどう言うかという問題を抱えているけれど、それをその人なりに解決した結果が提示される。聞いている人は、その結果を後から受け取っているだけなのだ。
 ぼくは、受け取るものは多様だけれど、語ることは一様である。それを状況や脈絡を変えて語り続けているだけだと思う。ぼくが考えていることを話半分にでも聞いてもらいたくて、どうしたら伝わるかと考えながら、日々書いたり話したりしているのだ。