うつりゆくものを見守っていく。

 突如襲ってくる無常観のようなものの扱いに、ぼくはまだ慣れていないようである。本なんて読んでも仕方ないとか、ブログなんて書いてても何も変わらないとか、なんのためにiPhoneなんて持ってるのかとか、そんなちょっとしたことに嫌気をさしてみたり、やめたらどうなるだろうとか考えながら無為な時間を過ごす。
 
 昨日は、一日かけて梅酒を漬けていた。日常的にやっているわけではないけれど、料理をする時間は、食材と向かい合って、自分が何かをすることと食材の変化がリアルタイムに移ろいでいるから、その食材の変化に身を任せることができる。洗えば綺麗になる。水気を拭けば水分は落ちる。落とせばゴミがつく。食材はぼく自身が何かを生み出さなくても存在し、ぼくが思うように変化させることができる。
 そしてこれから時間をかけて梅酒が出来上がっていく。すこしずつ変わっていくものを日々観察するというのは、家で花を育てるようなことと同じような試みだと思う。ぼくの場合、花は猫に食べられてしまうことから、これから梅酒を見守っていく。こう考えると一緒に住んでいる猫も日々変化しているはずだから、変化を見逃さないように見守っていきたい。