面白い話しをしたい。/「なぜ、あなたの話はつまらないのか?」(美濃部達宏)

 昨日ブログで紹介した美濃部達宏の「なぜ、あなたの話はつまらないのか?」を読んだ。

 美濃部達宏はトークイベントで、なぜこの本を書いたのかについて、それは、巷に溢れる話し方の本のほとんどが、「書くテクニック」をそのまま「話すテクニック」に置き換えているだけだから、この本で本当の「話すテクニック」として書いたと話している。

 なぜ放送作家の美濃部達宏が話し方の本を書けるのか。それは、テレビ番組は面白くなるように作られてるからである。そしてテレビの面白さは基本的に、出演者の話しによってもたらされる。特に視覚以外の情報は、出演者の話しでしか視聴者に届けることができない。そういう意味で、放送作家、特にバラエティ番組で放送作家をしてきた人たちは、テレビの出演者がどういう風に話せば視聴者が面白いと感じてもらえるかを追い求めてきたということだ。本の中では、具体的にお笑い芸人の面白さを解説することで、話し方のテクニックを教えてくれる。

 ネタバレをせずにこの本の効果を示すには、ぼくが面白くなって自分の面白さを解説すれば良いのだけれど、本を読んでもらったほうが手っ取り早いだろう。

 面白く話すということについて理解できたら、まずは自分が今の時点で話せることを面白くすることから始めるのが良いと思っている。新しい話しを考えるのは至難の業だと思うので、今まで自分がしてきた話しをもう一度話すとしたらどういう構成にすれば面白くなるかを考える。そして同じ話しをしてみようと思う。相手の反応が変われば成功だ。

 この手の「話し方」や「書き方」の話しをするときに、人によっては、どうして話し方を変えてまで面白くならないといけないのか、書き方を変えるくらいなら理解してもらわなくても構わないと考える人もいる。実際に職場なんかで、いくら書き直させても直らない人がいる。ぼくに分からせようとしているのだろうかと聞いてみても、そのつもりだという。

 少なくとも自分と相手がいる場面において、相手のことを考えないということはあり得ない。それは家族などとの会話も、仕事の会話も、プレゼンテーションでも、恋人との会話でも、どのような場面でも同じだ。言葉や絵などを使って相手とコミュニケーションをとる。その目的は、理解してもらうためである。

 そのコミュニケーションのなかでも「面白い」という観点は、理解してもらうことに加えて、相手に話しを聞いて気持ちよくなってもらうことを目指すための方法である。仕事であれば、理解することもまた仕事であるため、わかりにくいことも理解をしようとしてもらえる可能性もある。相手の性格にもよっては、わからないと突き返すこともあるだろう。しかし仕事以外の、友達や恋人とのコミュニケーションにおいて、聞いても面白くないし理解も出来ない話しは、いやいや聞き流されている可能性がある。これも相手の性格によっては、理解に努めてくれるかもしれないが、それは相手のことを考えているとはいえない。

 ぼくは面白い話しをしたいと思う。元々ぼくは期待されてもいないのに面白い話しをしたいと考えてしまうところがある。そして面白くない話しはあまりしたくないから、話したくても口に出さないことも多い。だから口に出せる話しを増やすには、話したいことを面白くするしかない。テクニックを身につけることによって本当に面白くなれるのなら、ぼくはもっと色んなことを話せるようになるということだ。