壁にぶつかるのではなく、横にずれる。

 昨日、岩崎夏海と美濃部達宏のトークイベントがあった。

 岩崎夏海は元放送作家で、今は作家やユーチューバー(?)をやっている。美濃部達宏は現役の放送作家である。そしてのこのトークイベントは、両氏の放送作家としての師である秋元康の話と、美濃部達宏が書いた本「なぜ、あなたの話はつまらないのか?」が出版されたことから、この本や本自体の話しがテーマとなっていた。

 「壁にぶつかるのではなく、横にずれる」

 これは、放送作家時代の岩崎夏海に対して、師である秋元康が言った言葉だそうだ。「悩むからダメなんだよ」と。悩みがあったら、それを避けて進んでいく。すると、いつのまにか悩みが終わっている。

 秋元康の壁を乗り越える言葉としてもう1つ「川に流れる流木は前に流れる流木を追い抜くことはできない。だから一度陸に上げて運べ」という言葉もある。同じ流れに乗っていたら追い抜くことができないことでも、別のやり方をすれば、追い抜くことができるということだ。

 秋元康を表す言葉として挙がっていたのが、「寝ない」「考えない」「悩まない」の3つだった。これらを総合的に見ると、常に何かを生み出し続けているということが想像できる。手を止める暇があったら、失敗でもなんでもする。天性の楽天家(脳天気)なのか自ら選んでそうなったのか、わからないけれど、何よりも「面白いこと」が好きで、「面白いこと」を追い求めるために生きているようだ。

 2人の話しを聞いていると、秋元康は伝説でも何でもないと感じることが出来る。とにかく一生懸命やりたいことをやっている。人の意見を聞いている暇もなく、世の中の批判も、秋元康にしてみればもう終わったことに対する批判であって、もう次のことをしているから聞いている時間もない。そのくらいのスピード感で、振り返らず生きている。かつて蓄積してきた知識と感じ取れる今からコンセプトをつくり、それに向かっていく。このどこかに秋元康の独特の感性が息づいているに違いない。