「リライト」「リビジョン」(法条遥)を読んだ。

 法条遥の小説「リライト」と「リビジョン」を読んだ。ジャンルはタイムパラドクスを描くSF小説である。現在この2冊あとに「リアクト」が出ており、最後もう1冊出て4巻のシリーズになるようだ。

 「リライト」では、"とある未来の人間が辿るはずの物語(小説)の改変を巡る物語"であり、「リビジョン」は、"とある未来の出生を守り抜こうとする母親の執念の物語"である。「リライト」の世界があると、「リビジョン」の結末が見えてしまうような気がするのだけれど、基本的には別の物語(パラレルワールド)なので、個別の物語としても読むことができると思う。「リアクト」は未読であるが、どのような関わりがあるのか楽しみである。

 「リライト」と「リビジョン」の世界。「リライト」における、未来においても時間移動ができる人は1人に限られていることや作中の小説との関係性、「リビジョン」における、自分から見えるのは未来だけ、という"世界のルール"のなかで現在を生きる登場人物達が巻き込まれる事象として、とても良く出来ていると思っている。登場人物への感情移入以外に、世界の整合性を正確に読もうとする必要があるという意味で、読者を選ぶ作品かもしれない。ぼく自身「リライト」については、今日読んだのが2回目で、ようやく世界を理解することができた。「リビジョン」は短いというのもあるけれど、1回目から理解しながら読み終えることができたと思う。

 ぼく自身、本当に正確に理解しているかといわれると、まだ読み込みが足りないかもしれない。それでも自ら世界を理解しようとすることが求められる小説が好きで、それこそ小説や想像の物語だと思っているところもある。加えて登場人物の情緒や展開の驚きによってその世界を理解することが気持ちよく感じられる小説を好きになる。たとえ夢オチみたいな終わり方をしたとしても、夢だった世界で得た感動が色あせることはない。(このシリーズは夢オチではない)