「君がオヤジになる前に」(堀江 貴文)

オヤジの定義は、「思考停止状態」に陥っている人のことである。

現状に不満を持っていても、何も行動をせず、

ただ流れるように日々を過ごしていく。


これは当たり前のように見えて、あまり人間味のない生き方だと思う。

本書は、著者本人が、ウザイと分かっていても言いたいことがある、

というある意味の"おせっかい"によるものである。


世の中は、少数のおせっかいが作る世界に、

不平不満を言いながらも、

その世界に乗っかる人々その他大勢によって回っている。


目次

まえがき いま「君」に向けて


25歳の君へ

Case 1 起業という選択

Case 2 本当の働き盛り

Case 3 趣味と仕事の境界

28歳の君へ

Case 4 結婚と保険と

Case 5 「待つ」という言い訳

Case 6 マイナス感情の克服

32歳の君へ

Case 7 クリエイティビティとは

Case 8 人脈とスキル

Case 9 情報を得ることの意味

35歳の君へ

Case10 利益を生む経営

Case11 友人と包容力

38歳の僕へ

Case12 充実した人生の定義


対談「これから」を生きる君へ

福本伸行×堀江貴文


あとがきに代えて

それぞれの年代の代表的な悩みについて、著者なりの考え方を示している。

とても当たり前のことを言っていて、著者自身の経験を含めて説得力がある。

通じていい続けていることは、予定調和で生きていると、思考停止に陥るということだ。


社会には、「世間の常識」がはびこっている。

社会はその世間の常識によって成り立っている部分が多いので、

いつの間にか、その常識に従うことが求められているように感じてしまう。


ついには、結婚・離婚に悩むのも子育てに悩むのも出世に悩むのも転職に悩むのも、

社会で生きていく上での予定調和のように、発生しては常識によって解決されていくもの。

"おせっかい"ではない、多くの人は、こうやって人生を全うしていくのではないかと思う。


書かれていることは著者の実体験に基づく人生訓と言える。

著者がダイナミックに生きてきたからこそ語れる挫折や前向きな生き方に、

僕は共感してしまう部分が多かった。


そうあるべきだけど、なかなかできない、それはバックグラウンドが違うのだから。

という言い訳はいくらでもできるし、このままそう終わっていくことも容易に想像できる。

でも、ふと立ち止まったときに、よりよい選択をするための背中を押してくれそうだ。

本書の内容を「勝手なことばかり言っている」と感じる人は、

おそらく、勝手なことを言って生きているのではないかと思う。


内容の進め方は、各年代のテーマについて、

「君の言っていることがよくわからない」「僕はこうしてきた」というストーリーで書かれている。

多くの自己啓発書は、「君」や「僕」という人称を使わず、一般論で同じことを言っている。

そういう意味で、本書は「堀江貴文」という人間が独白のようなものとも言える。

僕は、ビジネス書であれ、自己啓発であれ、このような人間味がある物語が好きだ。

物語になっていないビジネス書は、たいてい面白くない。