「アイデアのつくり方」(ジェームス W.ヤング)

本書はテーマの割には、非常に短い。

全体で100ページ満たない。

さらに本編(ジェームスWヤングが書いている箇所)は全体の2/3程度で、

残りは訳者や竹内均の解説である。


短い本編の中に、アイデアをつくるための生き方が込められていると思う。

もちろん本書を読むだけではアイデアは生まれない。

イデアをつくるには、こう生きていくと良い、

こう生きている人がアイデアを生んでいるということが書かれている。


また僕が注目したのはタイトルで、

イデアを"探す"とか"見つける"ということではなく、

"つくる"と表現していることだと思う。


イデアは作られるものだということを意識しはじめると、

すべてのアイデアは作りものに見える。


なぜ作られたのか、どう作られたのか、

そんなことに思いを馳せるようになった。

ジェームス W.ヤング

阪急コミュニケーションズ

(1988-04-08)

ISBN: 9784484881041

以下の目次の抜粋から、ほぼ言いたいことは見えてくる。

経験による公式

パレートの学説

心を訓練すること

既存の要素を組み合わせること

イデアは新しい組み合わせである

心の消化過程

つねにそれを考えていること

少しだけ具体化するために、アイデアをつくり出す、

心の技術の5段階というものを、解釈を補足して紹介する。


イデアをつくる5段階

1.資料の収集

そのもの(商品や消費者)に関する「特殊資料」と、

人生や世の中の出来事に関する「一般的資料」を集める。

そして、この作業は、生涯にわたって実行するものである。

資料の収集には、KJ法のような、カードに分類すると良い。

資料集めだけでなく、カードに表現することが、アイデアの作成につながる。

(著者はKJ法を知らないので、KJ法のことを直接的には書かれていない)


2.心の消化

資料をたくさんあつめると、それが有機的に結びつく瞬間がある。

資料がお互いに、勝手に手を加え始める。

補完しあったり、付加価値をつけ始める。

この仮のアイデアが降りてきたら、それを確実に捉える。

思いついたことは、どんなことでも記録しておく。

いずれ、そのアイデアの欠片のようなものが、出てこなくなる。


3.意識の外へ出す

今まで考えてきたことを、意識の外に出し、無意識に追いやる。

自分の想像力や、感情を刺激するものに心を移す。

音楽、映画、小説を読むなどする。

すると意識の外で、資料の組み合わせを作り出している。


4.つねに考える、考え抜く

そのことについて、とことん考えてみる。

何かが起こると信じて、つねに考える。

そうして考え抜き、錯乱状態に陥った瞬間に、アイデアは降りてくる。

これがアイデアの誕生である。


5.最後の段階

イデアが降りてきたら、それをどう使うか、世に出すかを考える。

実際に力を発揮する場面を見極めなければ、

そのアイデアは日の目を見ることはない。

心の中に秘めずに、批判を求める。

相手が刺激を受けるアイデアであれば、

他人の手が入り、アイデアが大きくなって自分に返ってくる。



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アイデアのつくり方

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