雨漏り

昨夜から今朝にかけて、関東地方に10年ぶりと言われる猛烈な台風が直撃した。

ぼくはテレビを見ないため、実際に外がどのくらい酷かったのかを見ることがないし、いつもなら台風のことなどすぐに忘れるのだけれど、今回は少し事情が違った。ぼくに実際の被害があったのだ。

雨と風が強くてあまり眠れず何回か起きてしまい、ついに夜が明けた頃にトイレに向かう途中、足が突然冷たい水に浸ったのだ。思わず「うわっ」と声を挙げてしまった。冷え性のため靴下を履いているから、水に浸った部分が少し嫌な感じになって靴下を脱ぐ。

水たまりは10畳のリビングの3分の1くらいを覆っていた。水源を辿ってみると玄関付近の天井だった。実は昨晩からどこかからポタポタ音がするのは知っていた。しかし家の中にそのポタポタが落ちているとは思っていなかったのだ。だから水源がそのポタポタだったとき、すこしばかり「やっぱり」感があり、不思議と慌てることもなかった。そして驚いたことに、天井の水が落ちてくる場所には、しっかりと穴が空いていたのだ。8年住んでいて気づかなかった天井の穴。10年ぶりの豪雨だと言われると10年前の状況が分からないのだが、10年前もきっと雨漏りをしたのだろうと想像する。

ぼくは冷静に水たまりをふき取り、水源の真下にバケツを置いた。水たまりの量が意外と多くて時間がかかったが一旦片づいて安心したぼくは、朝一では会社に行かないことを決めていたのでもう一度寝た。そしてまた起きるとポタポタする音も消えていて、まさかバケツが溢れたかと思って見に行ったけれど、バケツにはほとんど水が入っていなかった。つまりぼくが雨漏りを発見した時点で、ほぼおさまっていたのだ。

この雨漏り、昨晩のポタポタの違和感で気づいていればと思うけれど、恐らく雨漏り自体は防げなかったわけで、夜中に慌てて眠れなくなるよりは朝気づいて慌てた方が幸せだったと思ったりもして、まあどっちでも良かったかなと、今になって思うのだった。